「慈善活動と言っても、私の力は微々たるものです」
「誰かのために動くことに、大きいも小さいもないです」

 ジーンはこほんと咳払いをすると続けた。

「人の力は弱く、できることは限られております。だからこそ、なにができるかではなく、なにをしたいかがまず、大事なんです。できるできないを考えるのはそのあとなんですよね。ミーシャさまは陛下の師、クレアさまの意思と心根を、引き継いでいらっしゃるとお見受けしたんです。()を想う気持ちがあり、行動できるかた。陛下の妃は、あなたさましかいない」

 ――私が、リアムの妃にふさわしいというの?

 彼の言葉に、心が揺さぶられる気がした。ぎゅっと手を握る。

「ジーンさまのご期待に応えられるか、正直、自信はありませんが、善処しますね。陛下のために」

「はい。陛下をよろしくお願いします。未来の皇妃ミーシャさま」
「皇妃だなんて……気が早すぎます、ジーンさま。それに私は春に……、」
「では、陛下の婚約者さま。なにか入り用でしたら、遠慮なくこの者たちにお申しでください」

 ジーンは外に声をかけた。