ミーシャはライリーに笑みを向けた。

「そうね。それとてもいいわ。ありがとう、ライリー!」

 察した侍女の助言に感謝した。ライリーはいつもと変わらずやさしい眼差しをミーシャに向けると口を開いた。

「ミーシャさま。この国へ来る馬車の中で私とした話を、覚えておられますか?」
「覚えているわ。陛下の病を治し、すぐにフルラへ帰るとあなたと約束をした。なのに、帰国の期間が数日と短くなってしまって、ごめんなさい」

 ライリーは笑顔を保ったまま首を小さく、横に振った。

「私との約束を守って頂き、ありがとうございます。私はミーシャさまがいるところ、どこへでもついて行きます」

悪い魔女と言われる隣国についてくるのはとても心細かったはずだ。それでも彼女はいつでもミーシャの味方をしてくれた。励まし、何度も助けてくれた。

「今の私があるのはライリーのおかげよ。ありがとう。これからも、どうぞよろしくおねがいします」
「私はミーシャさまの傍にいるのが生きがいなのです。こちらこそ、よろしくお願い申しあげます。これからも尽くさせていただきますね、ミーシャさま」

 視界が涙で歪む。ミーシャは姉のように信用し慕っている侍女をぎゅっと、抱きしめた。