陽生先生のキケンな恋愛指導



 言われてみれば、確かにそうだ。
 あんなに意味わからず覚えられないって思ったけど、いつの間にかスッと私の中に入っている。


「今まで何となく丸暗記しようとしてるから覚えられないんだよ。
意味を捉えられたら自然と頭に入るだろ?」

「確かに……」

「じゃあ、今度はこれ」

「うえ!?なんか急に長くなってません?」

「いいから言ってみろ」


 そんな感じで私は英語の台詞を読まされた。
 何度もダメ出しされた。

 でも、いつの間にか自然と読めるようになっていたし、他の台詞を見ても抵抗なく読めるように。
 なんか何となくそれぞれの単語とか述語の意味も理解してきたかもしれない。


「先生!何となくわかってきましたっ!」

「よくできました」

「――っ!」


 先生に褒められた途端、胸の奥がきゅうっとした。
 締め付けられたような感覚なのに、どこかふわふわした心地よさがある。

 先生がこんな風に、私のために考えて理解できる方法で教えてくれるとは思ってなかった。
 もっとテキトーな感じだと思ってた。

 そんなギャップもあるなんて、ずるくないですか?
 これでときめかない女子っているんですか?

 あーー、ダメだダメだ!
 私は何とか煩悩を取り払おうとする。


「ありがとうございました。理解力のない私に根気よく付き合ってくれて」