「あんたは英語のどういうところが苦手?」
「えーー、単語が覚えられないです。綴りも意味も読み方も……」
「発音って言え」
「早口で全然聞き取れないし」
「それは耳が慣れてないだけだ。日本語わからない人からすりゃ、俺たちだって早口に聞こえるよ」
「そうなんですかねぇ」
すると先生は教科書を閉じて、この前資料整理を手伝った時に見た英文書のコピーを一枚渡してきた。
「ここの台詞、読んでみろ」
「え、えーーと……」
「もっと感情込めろ。下に和訳書いてあるからその台詞のイメージで」
「えーー!?」
まるで演劇の台本読みみたいな感じで英語の台詞を読まされた。
なんか演技指導されてる?なんで!?
「もっとオーバーに!」
「あ、あいむざきんぐおぶわーるど!!」
最終的には両手を広げ、正にこの世界は私のもの!と言わんばかりの名演技をしたと思う。
拙い発音だとは思うけど、なるべく台詞の世界観は出せるようにしてみた。
いやこれ本当に演技指導じゃん!
お兄さんが俳優だから!?
「それくらい身振り手振りを交えて言った方が、あんたには覚えられるんじゃない?」
「えっ」
「今声に出して呼んで、どうだ?
何となく英文を読むより頭に入ったんじゃね?」



