「いやそうゆうわけじゃないんだけど、次の恋は慎重になろうと思って!だから自分から動けるようにっていう……」

「ふーーん、仁胡がねぇ……」

「まあ頑張りな」

「うん!頑張る!!」


 どっちにしても嘘は言ってない。
 だって好きな人はこれから見つけるんだし!

 陽生先生はそれまでに指導してもらってるだけなんだから――。


* * *


「おい間宮仁胡、これも頼む」

「あ、はい」


 ……いや、指導してもらうんだよね??

 あれから私は週3で陽生先生の準備室に行っては、雑用を手伝わされている。
 あまりにも任されすぎて、今日なんか自分から手伝いに行ってしまった。

 パシられ根性が染み付いちゃってるのに、恋愛指導的なことはあれ以来ない。

 いやでも前回もそうだったな。何もないって思ってた途端、あらぬ方向から右ストレートがきたみたいな。
 だから油断はできない……。


「…………。」

「何ジロジロ見てんだよ」

「別に〜?てか私こんなに雑用頑張ってるんだし、ご褒美くれてもいいんじゃないですか?」


 なーーんて言ってみたりとかしてみる。


「いいけど?」

「えっ」


 え……今、なんて言いました??


「じゃあそれ片付け終わったらな」


 ええーーーー!?マジで!?!?