「あっ!仁胡いた!なんで電話出ないのよ」


 そこへ仁菜ちゃんがやってきた。
 ずっとスマホが鳴っていたことに気づいていなかった。


「仁菜ちゃん……」

「何?」

「私出会っちゃったかも!ワルい男に!」

「えっ!?」


 私は掻い摘んでさっきの出来事を説明した。
 元カレのことについては「マジで男として終わってんな」とガチでドン引きしていた。


「てか仁胡、そのイケメンに惚れちゃったの?」

「惚れてはないよ!!一歩手前だったかもしれないけど!」

「何歳くらい?」

「多分20代。仁香ちゃんと同じくらいかな?」

「絶対やめた方がいいやつじゃん。つーかあんた今制服だし、相手にしないと思うけどね」


 あっ、そうだ……。学校終わってそのまま来たから制服だったんだった。


「JKってわかって手出そうとしてたらヤバい奴だったね」

「確かに!ヤバ!ときめく!」

「どこにときめいてんだよ。バカなの?」


 仁菜ちゃんはいつも辛辣ですね……。


「まーその年上イケメンがお姉の言うワルい男かは知らないけど、仁胡にはハードル高いしやめときな。
それより合コンでしょ?」

「はっ、そうだった!!」

「忘れんなよ。何のための買い物だよ」


 またね、なんて言われたけど多分また会うことなんてないと思うし。
 合コンに向けて切り替えよう!

 なんて思っていたけど、まさか本当に再会することになるなんてこの時は思っていなかった。