「大丈夫だよ。ああ、李家は無関心だから知らなかっただろうけど、俺は子供の頃からの野球一筋で、今も野球部の副顧問なんだ。だから、初心者相手でもうまく投げる自信ならあるから」

「へえ。それは知らなかった。うちの学校って野球強いの?」

「この学校で一番強いのはラグビーだけど、野球も、その年によっては強豪と呼べるレベルにはなるよ。甲子園に行くことも何度かあったから」

「ふーん。じゃあ、顧問は責任重大ってことね。私なんかとキャッチボールしてる暇ないんじゃない?」

「俺は顧問じゃなくて、副顧問だし、実際の指導にはプロのコーチがついてるから」

無関心のあまり、うちの学校の野球部が強豪レベルということすら、全く知らなかった。

「勿論、野球部員のことも大事だよ。でも、俺一人が少し抜けても、あっちはそこまで影響ないのに対して、李家の指導するのは俺しかいないし」