マリアベルはようやく、アーロンの様子がおかしかったのは、この話を先に知っていたからだ、と気がついた。
アークライト家からの申し出で、相手はアーロンなのだ。彼だって、把握しているに決まっている。
「この話、もちろん受けるだろう? アーロン様との婚約だなんて、マニフィカ家当主としても、父としても、本当に喜ばしいよ」
「そ、それは……」
「アーロン様は、昔からずっと、お前のことを大事にしてくださっている。家としても、父として娘を任せたいと思えるかどうかにしても、これ以上の話はないよ。ベル」
父の言うことはもっともだった。
アーロンは国の剣とまで呼ばれる武の名門、アークライト公爵家の嫡男。
対してマリアベルは、貧乏伯爵家の娘で、令息とのその手の話は全てぶっ壊れてきた。
アーロンは、令息が逃げ出す女であるマリアベルに対して、態度を変えることなくずっとよくしてくれた素敵な人だ。
父の言う通り、家柄と人柄の両方において、これ以上の婚約相手はいないだろう。
だからこそ、どうしても気になってしまう。
相手など選び放題のアーロンが、自分などと結婚していいのだろうか、と。
貧乏娘のマリアベルが、名門公爵家のアーロンに提供できるものなど、ないに等しい。
あるとすれば、魔法の腕と、その力を継いだ子供ぐらいだが……。
マリアベルが特殊なだけで、マニフィカ家そのものは、魔法の才に恵まれた家系ではない。
マリアベルと結婚し、子を持ったところで、魔法に秀でた子が産まれるとは限らないのだ。
アークライト家からの申し出で、相手はアーロンなのだ。彼だって、把握しているに決まっている。
「この話、もちろん受けるだろう? アーロン様との婚約だなんて、マニフィカ家当主としても、父としても、本当に喜ばしいよ」
「そ、それは……」
「アーロン様は、昔からずっと、お前のことを大事にしてくださっている。家としても、父として娘を任せたいと思えるかどうかにしても、これ以上の話はないよ。ベル」
父の言うことはもっともだった。
アーロンは国の剣とまで呼ばれる武の名門、アークライト公爵家の嫡男。
対してマリアベルは、貧乏伯爵家の娘で、令息とのその手の話は全てぶっ壊れてきた。
アーロンは、令息が逃げ出す女であるマリアベルに対して、態度を変えることなくずっとよくしてくれた素敵な人だ。
父の言う通り、家柄と人柄の両方において、これ以上の婚約相手はいないだろう。
だからこそ、どうしても気になってしまう。
相手など選び放題のアーロンが、自分などと結婚していいのだろうか、と。
貧乏娘のマリアベルが、名門公爵家のアーロンに提供できるものなど、ないに等しい。
あるとすれば、魔法の腕と、その力を継いだ子供ぐらいだが……。
マリアベルが特殊なだけで、マニフィカ家そのものは、魔法の才に恵まれた家系ではない。
マリアベルと結婚し、子を持ったところで、魔法に秀でた子が産まれるとは限らないのだ。

