「ねえ、クラリス。三人、じゃないとダメかしら」

 そう問うマリアベルの視線は、ちらちらとアーロンに向いている。
 アーロンも一緒にどうだろうかと、クラリスに確認しているのである。
 恋愛感情か、と聞かれるとなんともいえないところではあったが、マリアベルにとって、アーロンは大切な人だ。
 鮮血のマリアベル、なんて呼んで令息たちが逃げ出していく中、アーロンだけはそばにいてくれた。
 王立学院入学後も、ずっと自分のことを気にかけてくれている。
 アーロンがマリアベルに向けるものとは、気持ちの種類は違うかもしれない。
 けれど確かに、アーロンはマリアベルにとっての「特別」で。
 同性の友人ができたことはもちろん嬉しいが、アーロンもこの場にいるというのに、女子三人だけで遊びの予定を立てるのは、なんとなく気が引けた。

 クラリスも、マリアベルの表情や視線の動きから、彼女の言わんとすることは理解した。
 けれど、ここで「では四人で」とならないのがクラリス・グラセスだ。

「ベルお姉さま。今回は『女子会』でしてよ」
「……!」

 女子会。その甘い響きに、マリアベルは陥落した。
 領地血濡れマリアベル。女子会という響きに、憧れていたのである。

「じょし、かい……! 楽しみだわ!」

 マリアベルは、女子三人で、という方向に頭を切り替えた。