「ねえ、お二人とも。今度の週末、うちに遊びにきませんか?」
「グラセス伯爵家に?」
「ええ! もしよかったら、なのですが……。三人でお茶会などいかがでしょう」
「素敵ね! ぜひお邪魔させていただくわ。コレットはどう?」
「えっと……。お誘いは、とても嬉しいのですが……」

 うちでお茶会をしましょう、というクラリスの提案を、マリアベルは快諾。
 コレットは、嬉しい、と答えつつも恥ずかしそうに視線を泳がせている。

「その……。伯爵家にお呼ばれするとなると、マナーなど、自信がなく……」
「でしたら、うちで練習すればいいのですわ。他の参加者は私とベルお姉さまのみ。友人だけの空間で練習できると思うと、気楽でしょう?」
「……! たしかに、そうですね」

 伯爵家へのお呼ばれだからと、気を張る必要はない。
 これからのための、練習の場だと思っていい。
 そう取れる言葉に、コレットも友人同士のお茶会への参加を決めた。

 これまで、領地の守りで忙しく、「友人」と呼べる人もほとんどいなければ、こうしてお呼ばれすることなどもなかったマリアベルは、この時を心から楽しんでいた。

――やっぱり、王立学院に来てよかったわ!

 友人たちとのお茶会の約束をし、マリアベルはご機嫌だった。
 ただ、ちょっと気になることもあったりはして。
 マリアベルは、ちら、と傍らに座るアーロンを見やった。
 今は、恒例の中庭でのランチタイム。
 当然、アーロンもそばにいるのである。