パーティーでのエスコートの権利を手に入れ、自分が見立てたドレスを着てもらえることにもなり。
 登下校も一緒!
 長年の片思いの相手とこんな展開を迎えたアーロンは、幸せの絶頂にいた。
 
――ベルはずっと可愛かったけど、今はさらに可愛い!

 入学式の日、マリアベルとともに馬車で移動するアーロンは、マリアベルの輝きに感動していた。
 髪や肌の手入れもできず、血を浴びていても美しかったマリアベル。
 アークライト家の使用人に磨かれた今、完全に「妖精姫」の再来状態であった。

――はー可愛い。可愛い。最高に可愛い!

 王立学院の制服に身を包み、「学校楽しみです!」「友達できるかなあ」とわくわくするマリアベルを眺めながら、アーロンは幸せに浸っていた。
 ちなみに、制服もアーロンが贈ったものである。
 王立学院は、私服での登校も許可されている。
 だが、入学式や終業式の日は制服着用と決められているため、制服はどうしても必要だった。
 マリアベル自身も、普段から制服のほうが気が楽かも、と話していたため、アーロンから贈らせてもらった。

「姉のおさがりだから、心配いらないよ」

 そんな言葉とともに渡した夏用冬用各数着の制服は、全て新品だった。
 ちょっと強引かな、と思う場面でも、「姉がいるから」「妹がいるから」と言えば納得してもらえることが多く、アーロンは「姉妹がいてよかった!」とよく感じている。