凌士は甘く目を細めたが、すぐにそれを表情から消すと、リフレッシュスペースを出ていく。

(ああもう……っ、熱いっ)

 あさひはひとりになったリフレッシュスペースで、真っ赤になっているだろう頬に手を当てた。
 凌士に抱かれてから、ふたりの関係はたしかに変わったと思う。
 凌士があさひを見つめる目には、前にも増して甘い熱が灯るようになった。

 それに、あさひの体にはずっと、あの日の熱がくすぶっている。
 強く、深く抱かれた余韻が冷めない。
 また、あの日のように強く抱きしめてほしいと思う。

 だけどこの関係に名前をつけるのは、まだ早いような気もしてしまう。あさひの気持ちは、まだそこまで追いついていなかった。

(それに、名前をつけてしまえば、いつか失う日も来そうで……)

 われながら臆病だ。

 でも、いつまでもこのままじゃいけない。

(凌士さんからもらってばかりで……わたしだって凌士さんになにかしたい)

 少し考え、あさひは保留になっていた件を実行に移すことにした。