そのまま由里がにっこり微笑むと、アキラは由里の後ろから、いきなり由里の首筋に顔を埋めた。


「ちょっ…アキラ君!?」


チクリという小さな痛みの後、優しく首筋を吸われる。


「…んっ」


由里は思わず、甘い声を漏らした。


アキラはそんな由里の声を聞いて顔を上げると、鏡越しに由里を見つめた。


由里の首筋からじんわりと血が滲んでいるのが見える。


アキラは由里の耳に口元を近づけて囁いた。


「…そんな可愛い声で泣いたら、このまま襲っちゃいそう。」


また着付けしないといけなくなるね、と言いながら、アキラはまた由里の首筋に顔を埋め、先程も口づけていた箇所に唇を当てると、ペロリと舐め上げた。


「…っもう、また着付けするのは大変だから嫌だよ。」


由里の精一杯文句を聞いてから、アキラは顔を上げた。
さっきまで血が滲んでいた箇所は、傷口が既に治って、もう血は出ていない。


「じゃあ、夏祭りから帰ってきたら…いい?」


そう囁くアキラに、由里はしばらく考える素振りを見せた後、コクンと頷いた。