メダカなキミ。



「おじさん、私達みたいだって。ふふ…」


由里が恥ずかしいような、でも嬉しそうに呟いた。
晶は、そうだな、と言うと、ボトルを覗き込むのをやめ、そのままメダカの入った袋を左手に持った。
そして右手で、由里の左手を握る。


「卵産んで、子どもが生まれたらいいな。」


晶がそう言うと、由里はアキラを見上げて「ホントだね!にぎやかになって楽しそう。」と言って笑った。


そんな由里の顔を覗き込むと、晶は柔らかく微笑んでから言った。


「…俺も、にぎやかな家族を由里と作りたい。」


突然言われた言葉に、由里は顔を真っ赤にした。


「晶、それって…。」


すると、晶は由里を見つめて微笑んだ。


「まあ、俺はそこまで考えてるってこと。でもまずは…」


そう言うと、晶はニヤッと笑うと、今度は由里の耳元で囁いた。


「…家族を増やす練習、今夜もしよ。」


由里はますます真っ赤に頬を染め、なんとか「…もうっ!」と小さく文句を言った。


今夜は満月。黄色くて丸い月が、暗闇を照らしながらぽっかりと浮かんでいる。


明るい月明かりと街路灯の光に照らされながら、由里と晶は体を寄せ合って、由里の部屋へ帰っていった。


fin.