図書館の彼




「……あの。」


「はい。」


「私も、馨さんのことばかり考えてました。

馨さんの好きそうな本を見つけた時とか、自分の好みの本に出会った時とか。
本だけじゃなくて、嬉しいことがあった時とか、寂しい時とかも。

ふとした時に、馨さんと共有したいなって。
会いたいなって思ってました。」


「……本当に?」


「はい。」


「嬉しい。俺だけじゃなかったんですね。」


「はい。私も、…好き、だと思います。馨さんのこと。
ほとんどここで、隣で本を読んでいただけなのに、おかしいですかね?」


「いえ、少しも。」


そう言って微笑んだ彼の目には、わずかに涙が浮かんでいるようにも見えた。