その夜。

 私は家に帰ると海斗が帰っているか確認して、まだだとわかるととりあえずお風呂に入り、帰ったら連絡してほしいとメールをした。

 しばらくして、これから帰ると連絡があった。お風呂に入ったからか眠くなり、うつらうつらしながら待っていた。

 玄関の音もしないし、メールもならないなあと思っていたら、石けんの匂いがする。ん?

 顔を上げたら、目の前で海斗が上半身裸だった。バスタオルで頭を拭いて私のことを上から覗いている。

 ど、どうしてここにいるの?

 「やっと起きたか。帰ってきて声かけたけど、寝てるから先にシャワーもらったわ」

 「か、海斗、うちの鍵持ってたの?」

 「……まあな。お前のこと助けるには必要だろ。でも付き合うまでは無断で使わないって決めていた。もういいだろ?」

 海斗は、変な話、手を出せる距離にいたのに、私の気持ちを尊重して待っていてくれたんだね。

 健斗さんがそういうことを言ってた。私を大切にしてるって。本当に好きな人には手が出せないんだよって言われたんだ。

 色気満載の目がこちらを見ている。

 「茜も風呂入ったんだろ?いい匂いだ」