まるで芸能人みたい。いつもサングラスしてる。三つ揃えのスーツをビシッと着ている。眼鏡取るとこれまたイケメン。海斗より冷たい印象のイケメン。

 「あかちゃん、乗りなよ。帰るんでしょ?送るから……」

 こんなところに路駐できないのはわかっているので、すぐに乗る。

 「うーん。あかちゃんは素直で相変わらずよろしい。そして見ないうちに可愛くなったじゃないか。どうして海斗の許嫁なんだろう?海斗は奥手だし、奪おうかな?」

 また、芸能人みたいに口説いてる。本当にもう、そのお口はお仕事以外に使わないで。

 「健斗さんは相変わらずのお世辞マシーンですね」

 むっとしてこちらを見た。

 「なんだよ。お世辞なんか言わないぞ」

 「健斗さんも女の人をたくさん泣かせたらダメですよ。この間もおばさんが愚痴ってましたよ」

 「……母さん。どうして知ってるんだ。あの人恐ろしいんだよな」

 ふふふ。おばさんも弁護士。鋭いからねえ。

 「……聞いたぞ。海斗の隣に越したらしいね」

 「不本意ながら。おばさんにもはめられました」