「何が残り物だ。俺のために取っておいてくれたんだろ?全部俺が最初になるってことだよな。茜、ありがとう。お前のそういう相手は一生俺だけだぞ」

 「え?」

 「お前が大切に守っていたものを俺は大事にする。安心しろ。これだけ長い間我慢してきたんだ、急がなくてもお前は俺だけのものだと思うようにする。わかった。今日はこれで我慢する」

 そう言って、頬に長めのキスをして、おやすみと言っていなくなった。

 私は脱力して座り込んでしまった。

 キスなんて海斗は挨拶だろう。無理矢理されるぐらいだ、やり慣れている。キスされたからって本当に私のことが好きかどうかなんてまだわからない。

 だって、化粧落としてすっぴんで普段着でいる私を見慣れている海斗が、あの綺麗な人達を振って私と?どうしたって信じられない。考えれば考えるほどドツボにハマった。
 
 その夜。
 私はベッドのうえで悶々と悩みながら、ダメなら友達に戻ろうと決意するとすぐに寝てしまった。

 翌日。
 会社に出て仕事をしていたら、内線が来た。

 おじいさまの秘書の人。珍しい。