海斗を避けるようになって二週間。その日の夜、夕飯を作りながら海斗に切り出した。
「だからね、あと半年後に最初の更新満了になるから、更新するのやめて引っ越そうかと思ってるの」
「……」
海斗はリビングでパソコンを見ていたが、メガネを外して私の方をジロッと見た。
「ねえ、海斗聞いてる?」
「理由はなんだ?俺たちやり直している最中だ」
理由はね。海斗が綺麗な女の人をマンションへ連れてきてキスしているのを見たから……。そう言えたらどんなに楽だろう。
「……」
「茜。どうして俺を避けてる?何があったんだ?仕事忙しいとか嘘だろ」
美紀にもこの間それとなく聞かれた。海斗がわざわざ美紀に連絡して聞いたらしい。
海斗は台所へ来ると、私の肩を自分の方へ引き寄せた。
「茜。もういいだろ?きちんと付き合おう。俺はお前が好きだ」



