目の前の息子のような人はすごい勢いでビールを一本空けたかと思うと、おかずとご飯をガツガツと食べ始めた。

「……うんまい。さすが、茜。マジで俺、お前の飯にここ一年ですっかり胃袋掴まれた」

「そうですか……」

 いつも褒めるのはそればっかり。私ってそれ以外で海斗の側にいる意味あるの?

「このまま茜の隣で寝てもいい?」

 にこにこしてサラッと言う。

「どうしてそうなる?あのね、私達はまだお付き合いしてません」

「そうだっけ?こういうのはすでに付き合ってるっていうんじゃないの?俺達に足りないのはベッドだな」

「……べ、ベッドって……」

 私が真っ赤になって立ち上がったのを見て、嬉しそうに笑ってる。結局冗談なんだよね。馬鹿にしてる。私だって、いつかは恋人が欲しいんだからね。

「茜は何を気にしてそんなに頑ななんだか……」

「ご飯食べたら早く帰って寝なさいね」

「追い出そうとすんな」