新藤家の人達はこれには何も言い返せなかった。もちろん、海斗も。
無事に戻ればそれにこしたことはないが、今回の怪我をはじめとして何が起こるかわからないという考えは一理ある。
でも、私は既婚者として海斗に海外へ行って欲しかった。だって、モテるんだもん。既婚者なら少しは違うかと思うんだ。
『よし、指輪をして行こう』
そう言って、結婚してないのに、マリッジリングを作り、海斗は左手薬指に婚約リングと言ってつけて渡米してくれた。
自分がモテるという自覚があるというのもどうなんだろう。まあ、私の望みは全て叶えると言うから、お祓いをして指につけてあげた。
彼の左手薬指を見た。指輪をなぞる。
「何してる?ずいぶん余裕があるんだな」
急に勢いが激しくなって、どんどん責め立ててくる。



