「茜、馬鹿だろ?ナンパじゃないぞ、それ。金でもむしり取ろうとだましに来たんだろ、絶対」

 「何よ、その言い方。私だってたまにはそういうことがあるの。モテ期なんだから」

 「ふざけんな、茜。それならもう日本へ帰さない。いいか。わかったな」

 指を私の前にビッと出して突きつけた。無口になって横を向いた私の顔を見て、びっくりして焦った顔を見せた。馬鹿はどっちよ。麻婆激辛にしてやる。

 「茜。ごめん、怒るなよ。せっかく来たのにそんな顔すんな」

 お玉でカレー鍋をかき回している私を後ろから抱き寄せて言う。

 「よし、昼飯食べたら公園行こうな?」

 海斗の手をつねった。

 「知らない!」