私は立ち上がって、頭を下げた。ところが、身体がまだ本調子じゃないので横に倒れてしまい、海斗が立ち上がって抱き留めてくれた。そして彼が言った。

 「その時はまだ付き合えていなかったんです。俺も司法試験前だったし、そんな余裕なかった」

 「そのこともわかっていて急いで縁談を持ちかけてきた。そうだな?」

 海斗のおじいさまが言った。

 「……私達をつるし上げるために来たのか?」

 伯父さんが呟いた。海斗のお父さんが話した。

 「そうではありません。海斗の意思を伝えて相談のために来たんです」

 海斗はうなずいて話した。

 「会長には少しお話ししましたが、顧問弁護士をしてからこちらの業務にも興味が出ました。この会社の状況を見た限り海外取引の強化が必要です。国際弁護士になれたら役立つかもしれないと思ったんです」