すると、医者が来て、何か海斗に言っている。医者が胸を開いて聴診器を当てた。看護師が来て点滴をはじめた。
「早見さん。わかりますか?」
指を出されて、答えた。
「ナイフの刃先は内臓には届いていないので安心して下さい。少し深い所もあります。傷を縫いました。しばらく入院です。これから麻酔が切れてくると痛みがあるかもしれません。点滴しますから……。絶対安静ですよ」
すると「茜!」とすごい声がして、両親が入ってきた。ママは泣いている。パパはママを抱きかかえていた。
「……ママ、パパ……」
「茜、どうしてこんなことに。海斗君を庇ったって本当なの?」
「落ち着きなさい、茜を困らせるな。重傷なんだ」
パパがママを叱っている。
「茜。大丈夫だ、しっかりするんだ。よく頑張った。誕生日だったのに……でも、プロポーズされたんだろ?よかったな。好きな人を助けたんだ。立派だぞ。さすが僕の娘」



