さすが母さん。

 「爺さんに事務所は母さん達に任せるかもしれないと言われたよ」

 「私達夫婦は後々入るつもりでいるから、あなたは自分の好きにしていいのよ」

 「ありがとう」

 「とりあえず、自分の目の前のことをしっかりね」

 「ああ。母さんも身体に気をつけて。父さんにもよろしく伝えて」

 そう言うと、電話を切った。理解ある親で助かる。爺さんのことも尊敬してる。家族に恵まれていると思う。

 家に帰ってから念のため、茜の実家にも連絡した。茜がまだ帰っていないから、かえっていいかもしれないと思った。
 おばさんよりおじさんのほうが話しやすいんだけどな。
 
 すると、おじさんが出た。助かった。おばさんは友達と観劇に出かけたと言われた。こんな大変なときに、相変わらずお嬢様気質なんだよな。友達はみんな母さん以外ほとんどお嬢様生活。おじさんも大変だ。