それ以降は必死で法務の仕事をした。高梨君に頼れないと思うと自分で考えようとする。こういうことって大切かもしれない。自分でできるだけわからないことは調べようとするし、今までどれだけ調べずにただ彼へ聞くばかりだったか認識した。甘えていたことに初めて気付いた。

 海斗もその日から忙しくなり、夕飯も家で食べられなくなった。
 帰ってきても、うちには来ないで隣へ帰っている。

 仕事を持ち帰っているので、自分の部屋へしばらく帰るとメールが来ていた。

 それから三日後。
 
 夕方すぎになり、社長秘書から内線をもらった。終業後来て欲しいというものだった。

 高梨君の分も仕事をやっているので、残業になってしまう。とりあえず、時間を見て役員フロアへ上がった。

 入ると驚いた。高梨君がいる。ええ?

 「早見、仕事押しつけて悪かったな」

 「ううん。大丈夫なの?」

 秘書の方が入ってきて、社長は外出で戻りが少し遅れると伝えられた。