海斗がすごい顔で私を睨む。

 「そんなわけないでしょ。海斗だけだよ。わ、私甘いこと言われるの慣れてないから、最近びっくりして。これが世に言うモテ期なのかな?高梨君まで私に甘いとか信じられなくて……あ、違った。ごめんなさい」

 海斗は膝に手を置いて前のめりになり、ため息をついている。

 「茜。今度高梨以外からもちやほやされてモテ期が本当に来ているようならすぐに言え。最近、綺麗になってきたからな。不用意に男へ笑いかけるなよ、いいな!」

 「うん。海斗もう怒らない?」

 「俺にだけ笑ってろ。それなら怒らない」

 それは無理だと思うけど、一応そうするって言わないと……。それにしたって、自分のこと棚に上げてなんなんだろ?今までの海斗の事を考えたら私……。こんなに怒られないといけないこと?

 「……」

 「どうした?」