「いないとだめになっちゃうかもしれない。最近、気付くと海斗のことばっかり考えてるの。ゆ、夢にも海斗が出てくるの。冷たくされたら、きっと私だめになるかも……」
「ふーん。だめになるんだ。じゃあ、俺がいなくならないように茜はどうすべきだ?」
思いきって顔を上げてみると意地悪な瞳がこちらを見てる。
「どうして怒るの?海斗だけだよ。高梨君にはお断りするって言ったじゃない」
「いつ断るんだよ?口ばっかりだろ。お前あいつに言い寄られてまさか少しその気があるんじゃないだろうな?」
「だ、だって、仕事中はそういう話する時間がないし、高梨君が最近帰りも残業せず急いで帰っているから……あ、そういうことか。おうちのことがあって帰ってるのかな?」
「ま、そうだろうな」
「だから、そうじゃなくって、海斗は心配しないでいいよ。だって縁談なくなりそうなんでしょ?」
「なくなりそうとかじゃなくって俺が言ってんのはお前の気持ち。他のやつにちょっと言い寄られるとすぐに嬉しくなってそのままにしてるんじゃないだろうな?」



