「茜はな、わしの孫であり、蓮見の血を引く唯一の直系じゃ。諦めるわけがない。悪いがな、ここへ入社させたときから茜の両親も全くこのことを考えていなかったはずはない。皆がこの会社の恩恵を受けて生活しているのだからな。茜お前もじゃ!」
わかってる。わかってるよ。お母さんだっておじいちゃんに援助してもらって私を結局育てた。お父さんだってわかってるはず。もちろん、恩返しのために入社したんだから、私は縁談以外なら何でもするつもりだった。
「おじいちゃん。蓮見のために私が出来ることはやります。でも海斗を困らせないでって言ったでしょっ!」
「おー怖。茜は素直だったのに、どうしたことじゃ?海斗君のためなら鬼になるのか」
海斗が嬉しそうに私の肩を抱き寄せた。
「会長。俺も茜のためなら鬼になります。よろしくお願いします」
「そうか。鬼に。面白くなってきたわい」
おじいさまは両手を万歳してひっくり返っている。
部屋を出た。伯母様が立っていた。



