「まあ、いい。そのうち君の耳にはイヤでも入る。顧問弁護士だからな」
「そういうことですか」
「そういうことじゃ。じゃあな、茜。せいぜい、海斗君に嫌われないように大人の女になることじゃ」
信じらんない、おじいちゃん。何言ってんのよ!
ふたりは目を合わせて笑っている。何なのよー!
「茜、帰ろう。会長失礼します」
立ち上がって頭を下げて部屋を出ようとしたらおじいさまが海斗に声をかけた。
「おうおう。先ほどの話、雑談だが考えてくれると嬉しい。そうしてくれたら、茜の縁談もすぐになくなる」
「……それは茜のことをまだ諦めないという意味ですか?」
海斗が立ち止まって振り返る。



