イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの


 「高梨君が御曹司って知られていなければこの会社にいてもいいんじゃないの?」

 「そうはいってもな。取引のある営業部長や担当者は俺のことをどう思うか……。ここの人達にもすぐ噂が広まる」

 そんな……。

 「実は、高梨工業の顧問弁護士が使えなくてさ、今回のこともうまくやってくれなくて、別な弁護士を探しているんだ。それで、新藤先生に電話して先生の事務所で担当してもらえないか聞いている最中なんだよ」

 「……ええ?!」

 ど、どうしてそうなる。受けたりするのかな。海斗なら断るよね、きっと。

 「……やっぱり。その慌てぶり。早見と先生ってなんかある?先生、お前のこといっつも見てる。お前も先生のことチロチロ見てる。部長は知らんふりしてる。俺だって気付くよ」

 「……それはその」

 「遅くなった。悪いな」

 社長が入ってきた。

 ふたりで立ち上がって挨拶する。秘書がコーヒーを三人分入れてきた。

 「高梨君。家の方はどうだね?」

 「マスコミ記者会見は明後日以降になると思いますが、明日くらいから表に出るようです」