「お付き合いをはじめられたとか……主人から聞きました。さぞ驚かれたでしょう、茜ちゃんの縁談なんて……お父様も勝手ですよね。小さいときはあなたと許嫁。大きくなったら別な人なんて。女を何だと思ってるのかしらね」
「……伯母様」
「お父様と主人に聞かれたら怒られそうだけど、茜さんの気持ちが一番大事だし、茜さんのご両親にも何もお話ししていないと聞いて驚いたのよ。勝手をして謝っていたとお伝え下さいね」
伯母様。いい人だな。伯父さんにはもったいない。
「伯母様。嬉しいです。ありがとうございます」
「ありがとうございます」
海斗も一緒に頭を下げてる。
そこで伯母様とは別れた。
玄関を出て、歩きながら海斗が話し出した。
「伯母さんはきっと大変だったんだろうな。お子さんがいないのを会長達に色々言われたんだろう。気の毒だ。とてもいい人なのにな」
「……本当だよ。伯父さんにはもったいないよ」
「あはは、全くだな。美人だしな。社長はたぬきみたいなのに」
海斗の腕をつねった。
「痛い、何するんだよ」



