思ったより早く仕事が片付いて、マンションへ戻った。当たり前のように茜の部屋のベルを鳴らして、鍵を使って入った。

 「お帰りなさい。早かったね」

 エプロン姿の茜が走ってきた。可愛いし、嬉しくて抱きしめる。

 「な、何?」

 「いいな、本当に。早く結婚しよう」

 「ええ?!」

 「家に帰ると茜がいる。しかも、会社での茜とは違う茜。髪の毛を下ろしていたり、部屋着を着ていたり。そういう素の茜はおれのものだと思うだけで嬉しいんだ」

 「……海斗」

 「ああ、今日もいい匂いだな。今日のメニューはなんだ?」

 「ん?あ、あんまり材料がなくてあり合わせなんだけど……」

 「茜の料理は昔から何でも美味しい。俺はお前を独り占め出来て幸せだよ」

 そう言って抱き寄せるとキスを1つ落とした。
 何故か、最初から茜が身体を寄せてくるので、再度キスをして止まらなくなる。

 「か、海斗。ダメだよ、ご飯にしようよ」

 彼女の服の下に手が入り、欲しくてしょうがない。だが、真っ赤な顔で俺の胸を押し返す茜を見て、慌てることはないと思い軽く抱きしめて解放した。