「身体、大丈夫か?」

 身体を起こすが重い。腰回りがだるい。力が入らない。

 「うう、痛い」

 「待ってろ」

 海斗は出て行って、お風呂を入れてくれた。狭い浴槽にふたりで入った。恥ずかしがる元気もなかった。海斗の手がお腹に回っている。

 「どうした?」

 「……」

 「痛いのか?」

 「そうじゃない。海斗は私以外に何人の女の子とこういうことしたの?」

 「……茜、お前」

 「ごめん。ただ、聞いただけ」

 海斗は私のお腹を引き寄せて向きを変えさせた。
 正面から私を見ると、はっきりと言った。

 「大学時代の彼女だけだよ」

 「本当なの?」

 「茜。本当はお前とあの頃から付き合いたかったんだ。一度年末に会っただろ。少しは嫉妬してほしかったのに、気のない素振りされて当時は落ち込んだんだぞ」

 そう言うとそっと抱き寄せてキスをした。

 「あ、触っちゃだめ……」

 「ああ、あかね、本当に可愛い……」
 
 身体を優しく触られた。でも出社前なのでそこまでにしてくれた。

 急いで出ると着替えて準備した。朝ご飯はパンと紅茶。海斗はコーヒー。