ヴァンパイアから抜け出したい

「社長!!
僕はいつになったら、人間役が出来るんですか!!!」



俳優という仕事を始めて半年……。

言えたぞ!!!

半年なのに言ったらいけないかな? 怒らせるかな? 困らせるかな? 悩ませるかな?



「分からないな」



平常!!!



「社長……お願いします……。
このままだと…僕の名前が忘れ去られてしまいます……」



事例その1。

公園で遊んでいた小学生の男の子。



『あっ!! ヴァンパイアくんだ!!!』



事例その2。

学校でそんなに仲良くないクラスメイトの女子。



『ヴァンパイアくん。今度の仕事で、男性アイドルと共演したりとかしない? サインもらってきて欲しいんだけど』



事例その3。

一年ぶりに会ったひいお祖母ちゃん。



『元気にしてたかい?
ヴァンパイアくん』



ショックだった……。



「身内に名前を忘れられたんですよ? ヤバイですよ!!!」

「ひ孫がたくさん居るなら、何人か忘れててもおかしくないだろ」

「ひ孫9人中、僕の名前だけ忘れられてました!!!」

「…お前の名前覚えにくいからな」

「どこがですか!! めちゃくちゃ覚えやすい名前で……。

もしかして社長、僕の名前忘れました?」

「そんなわけないだろ!! 自分の事務所に所属している俳優の名前だぞ!!!」

「僕の名前は何ですか?」

「ヴァンパイアくん」

「覚えてないじゃないですか!!!」

「怒るなよ。冗談だろ~」

「じゃあ…僕の名前は何ですか……」

「ヴァンパイアくんに改名するか」

「しませんよ!!! というか…全然覚えてないじゃないですか!!!」



僕の名前は深剛己。

深剛己(しんごうき)です。

覚えやすいですよね?