エルヴィアナはクラウスの袖を摘んで言った。 「――んで」 「なんだ?」 小声すぎたせいで、クラウスに聞き返される。エルヴィアナは顔を見上げた。 「エリィって呼んでほしい。今までみたいに」 愛称呼びだと、親しみを感じられる。少しだけ照れくさいけれど。クラウスはまた、甘ったるい笑顔を浮かべながら言った。 「――エリィ」 その直後、大きな体に優しく抱き締められていた。エルヴィアナもその背に腕を回した。