デートに出かけてから一ヶ月が経った。エルヴィアナの体調も良くなり、来週から学園に復学することになっている。

 今日はルーズヴァイン公爵邸にエルヴィアナが遊びに来る日だった。二人でまったり過ごすのを楽しみにしていたのだが……。

「やあ。今日はお招きいただきどうも」
「君を呼んだ覚えはないが」
「わ。露骨に嫌そうなカオ」

 なぜかエルヴィアナの他に、ルイスもリジーまで着いて来ていた。招いた覚えはないのに。するとエルヴィアナが申し訳なさそうに謝ってきた。

「ごめんなさい、クラウス様。みんないた方が賑やかで楽しいと思って」

 彼女に悲しい顔をさせてしまうとはなんという不覚。エルヴィアナがクラウスを思ってしてくれたことなら、先に言ってほしかった。知っていたら迷惑そうな反応は決してしなかったのに。

「謝らなくていい。とても嬉しく思う。むしろ大歓迎だ」

 エルヴィアナはよかったと息を吐いた。

「さ、邪魔するよ」

 ルイスは他人の屋敷にずかずかと上がり込み、我がもの顔で先に行ってしまった。昔から彼とは気の置けない友人だが、彼はクラウスに対して遠慮がないところがある。

 するも、少し歩いた先で立ち止まり、こちらを振り返った。

「――で。君の部屋はどこ?」
「教えるか。応接室はこっちだ」

 私室に入れさせたら、いたずら好きのルイスは何をしでかすか分からない。それに、私室にはエルヴィアナさえ一度も入れたことがない。一応いつも綺麗にしてはいるものの、生活空間に彼女を入れて、センスがないと幻滅されたりしたら嫌だ。

 すると、エルヴィアナがクラウスの裾を摘んで言った。