「そんなに文句言ったってどうしようもないよ」

娘は嬉しそうに玄関まで向かい二人を招き入れる。

今日はどんな用事なのだろう、と不思議に思いながらお茶の用意をした。

「ままぁ! ひかるおねーちゃんがね、はなしたいことあるって〜!」

キッチンまで走ってやってくる娘にお礼を言い、お茶を持ってリビングまで戻った。

重苦しい雰囲気を漂わせながら待っているので、何事かと身構える。

「あの、さ……」

西園寺くんが口を開くまでずっと無言だった。

「オレら、結婚することになりました」

それは衝撃な言葉で、私と紅斗くんは二人で叫んだ。

「はぁ!?!?!?」

輝月が弁解するように事の説明をしてくれた。

「私は今でも白愛が好きだよ。けどね、煉がしつこくて!」

「押しに弱いんだな、傘黄さんって」

そういう紅斗くんの言葉に、輝月は小さくなった。

「返す言葉もございません……」

四人で笑った。こんなに楽しい時間は、高校以来だと感じた。

娘は大人しく遊んでおり、少しだけ目を離しても大丈夫だろうと思えた。

これから先も彼と娘と仲良く過ごせますように。

輝月と西園寺くんが幸せでありますように。

心からそう願ったのだった。









~完~