両親は先に帰り、私と紅斗くんの二人で帰る。

ずっと無言だったけれど、私は久しぶりに彼と帰れることに喜んでいた。

「公園に行こうよ」

彼がそう言って向かった先は、学園から近く、とても有名な公園だった。

「ここの公園、久しぶりに来たな〜」

そんなことを言いながら一緒にブラブラと歩く。

「どうして公園へ?」

そう彼に聞くと、ある場所までやってきて言った。

「俺と結婚してくれませんか?」

右手に枯れた白い花を持っている。右足を地面につき、左足は立てている。

ほんの少しだけ手は震えていて、私は少しだけ笑いをこらえた。

「えぇ、もちろん──」

ムシムシと暑さじゃなく、ほんの少しだけ涼しい暑さで、彼は公園の有名な場所で私にプロポーズをした。

国王の嫌いな枯れた白い花が私には嬉しくて、幸せで。ずっとずっと続くことが嬉しかった。

公園の有名な場所とは、昔からある縁結びの場所。ここで告白をすれば、プロポーズすれば、成功すると噂の場所。こういうことを信じるところが面白くて、可愛らしく見えた。

「マジか!?」

死ぬほど嬉しそうに喜んでいる彼に、私も釣られて嬉しくなる。

あぁ幸せだなと思えた。

「卒業旅行とか行こうな!」

嬉しそうに言うので私も嬉しくなる。

好きな人──愛してる人が幸せそうな姿を見るのは、やっぱり幸せだと思えた。