赤いヒラヒラのワンピース。腰より少し上の位置でピンク色の紐を巻き付けて結び、後ろにリボンを作る。朱色に似たヒールを履き、家族みんなで祭りに出かけた。

屋台で茶愛からねだられたりと、色々と買っているうちに手荷物が多くなり、ベンチで二人で買ったものを食べたり遊んだりして消費していたところ、見知った人を見つけ、私は彼の元まで走った。

「紅斗くん! 何してるの?」

ルンルンランラン気分で近寄り話しかける。彼も嬉しそうだ。

「白愛こそ何してるの〜?」

二人で楽しく会話をしていると、私の両親がやって来た。

「白愛」

父が優しく私の名を呼ぶ。紅斗くんの姿を見て、父は、ほんの少しだけ暗い表情をした。

「キミが天寺紅斗くんだね?」

「はい……」

少し重苦しい雰囲気が漂い、少し怖くなったけれど、父は笑顔だ。

「娘と仲良くしてくれてありがとう。けれど、キミがどんな人か分からない中で娘とお付き合いをさせるのは如何なものかと父親として思うよ」

「……そうですか……………けれど俺は好きな人と何があっても離れる気はないです」

真顔で彼は父に反抗した。その姿が面白くて笑いそうになった。

あぁ私は彼を好きになって間違いはなかったんだ。

「お父さん」

だから私も真顔で反抗してみた。

「私も何があっても好きな人と離れる気はないよ」

二人の姿に父がどう思ったかはわからないけれど、笑いだした時、悪い印象ではなかったのだろうなと思った。