けれどめげずにこちらにやって来る。私なんて見えてないかのように。

「一緒に遊ぼうよぉ」

その声は気持ち悪かった。なぜか分からないけれど、下心丸出しの人がこうも気持ち悪いとは思わなかった。

だから私は、どうにかして女子の群れから彼を引き離したかった。

「彼は私のです!」

彼の腕を掴み、ムスッとした表情で女子の群れに言うと、彼のよく分からないネジを緩めてしまったのか、彼がバグった。

「……白愛は何しても可愛いね! 」

彼にハグをされた戸惑ったけれども、次の瞬間、彼は先程よりも冷たい声で低い声で女子の群れに言った。

「アンタらが俺の彼女より可愛いわけねぇだろ。とっとと失せろ」

その言葉が良かったのか、はたまた彼の冷たい冷たい赤い瞳が怖くなったのか、どちらにせよ、女子の群れは逃げた。

私はとんでもない人と付き合っているのかもしれない。ふとそんなことが過ぎったけれども、さほど気にする必要はなかった。

そんなこんなで今日も一日お疲れ様と言いながら彼の運転手さんが運転してくれる車に乗った。きちんとお礼も忘れずに。

写真を送ったり、携帯にお揃いのキーホルダーを付けたり、二人で楽しんだ。今更だけれども、運転手さんには迷惑ばかりかけているように感じる。それでもニコニコしながら運転してくれた。

家に到着し、運転手さんにお礼を述べて、紅斗くんのほっぺに自分からキスして立ち去る。めちゃくちゃ恥ずかしかったけれど、ちょっとだけ嬉しかった。