彼の好きなところを述べよ、という問題が出された時、私は迷わずに「全て」と答えるだろう。

そんなことをカフェで彼とのんびり会話しながらそう思った。

私の好みを把握してくれるところも、愛情表現が強いことも、私以外の女子生徒に冷たいところも、何もかも私は彼が大好きだなと思えた。

「この前さ、観たいって言ってた映画を観に行かない?」

「覚えててくれたの? ありがとう!」

「もちろん! 白愛のことはなんだって知ってたい」

そう言って私のほっぺに付いていた生クリームを手で取り、自分の口に入れて舐めた彼。その仕草はカッコよくて、また好きになりそうだった。

カフェを出て映画館に向かう。上映時間まで少し時間があるので、別の場所でウロウロしていた。

お互いに好みの服を見たり、キーホルダーのオソロを買ったり、カップルらしいことをして楽しんだ。

上映時間の10分前になったので向かい、チケットを買ってジュースも買った。

好きな人と見る恋愛映画は照れくさくて、けれど楽しかった。二人でキャーキャー言い合って、乙女心を楽しんだ。

「楽しかったね!」

「うん、面白かった〜」

定番的な恋愛映画だったけれど、とても面白かった。やっぱりみんなが好きなのは王道なのだろうと思った。

そのあとはまた少しウロウロした。

「今度は遊園地に行こうか」

「水族館も行きたい」

定番的なデート場所を考えて、少しずつ距離を縮めて行こうと思った。そのうちお家デートとかになったりするのだろうか。そんな考えを私は振り払うのだった。