「輝月……あのね、私もね、輝月が大好きだよ。友達として大好きだよ」

この言葉は、きっと彼女に多大なるダメージを与える自信があった。言ってはならないと感じた。なぜなら私が言われればショックを受けないはずがなかったから。

〈うん、知ってる〉

けれど、輝月は強がったのかどうか分からなかったけれど、涙声でもなく普通に接してくれた。

そんな彼女の優しさに漬け込むのは、やっぱり嫌だった。

その日を境に、私は紅斗くんともっと仲良くなり、輝月はいつも通りに私を紅斗くんから引き離そうと話しかけてきた。


幸せな幸せな日々は、そう長くは続かなかった。高三の冬休み。私たちは受験勉強に必死で遊びに行く予定など立てずに机とにらめっこしていた。

紅斗くんが時々、会いに来てくれたけれど、大したおもてなしも出来てないし、カップルっぽいこともしてない。ただ、時々、血を吸いにやってきた。

「いっ……!」

どれだけ首元を噛まれても、私の身体がなれることはなかった。

このまま押し倒されそうなのに、そんなことないのが笑えてくる。彼は積極的に見えて奥手だ。けれど、ジワジワと距離を詰められている気がした。

「卒業したら一緒に住もうよ」

その言葉を聞いて私は満面の笑みで頷いたのだった。