高校三年生になった。クラスは、私と輝月と紅斗は離れ離れになった。私のクラスにいる喋れる人は西園寺くんだけだった。輝月も紅斗くんも同じクラスで、さほど仲が良かったように感じなかったけれど、ほんの少しだけ気になりはした。

これから先、どんなことがあるのか全くわからないけれど、卒業後の進路を決める大事な時期になった。

が、しかしその前になぜ私は今、紅斗くんと一緒に帰っているのだろうか。

久しぶりに「一緒に帰ろう」と誘われて嬉しかったのは確かだ。確かに死ぬほど嬉しかった。

とりあえずいつものコースを歩く。何も考えずに一言も喋らずに。あ、また刺されるパターンか。そんな気がした。その予感は、今回だけは的中しなかった。

「進路決まった?」

まだ三年になって間もなく、特に何かしたいわけではなかった。家を継ぐのは私だけれども、残念ながらそうもいかなくて。

「とりあえず大学には行きたいかな」

「だよな〜……」

そう言って私たちの会話は終わる。こんなにも彼と一緒にいて会話が続かないことはなかったのに。

ほんの少しだけ気まずい時間が続く。家までの距離。すぐに終わってしまう。早く終わってほしいような、まだ続いてほしいようなわからない気持ち。

「あの、さ……」

その沈黙を破ったのは紅斗くんだった。私はいつも通りに「なぁに?」と返事をした。