その後は紅斗くんも元気になり一緒に私の家まで帰った。相変わらず私の首の近くにあるふたつの穴は塞がることなく。血も止まったし、大した怪我では無いけれど、ふとそこを見るとなぜか嬉しく思った。

「送ってくれてありがとう」

「……いや、庇えなくてごめん…………それとこちらこそありがとう。おかげで元気になった」

「ううん! 私の血なんかでよければ、また言って。いくらでもあげるから!!」

「……うん、ありがとう」

この時、軽々しく約束しなければよかったように思う。あれからほぼ毎日のように紅斗くんから迫られていた。

怪我の理由を母に問われた時、素直に応えると「やっぱり親子ね」と言われた。

それはそうだろう。私の父も“赤い人”なのだから。母は人間だ。私も人間だ。唯一、茶愛だけが怪しい。今のところは人間だけれども、もしかしたら“赤い人”になる可能性はある。産まれた時に医者にそう言われているそうだ。

私の血が白いのには理由がある。なぜかわからないけれど、“赤い人”と人間の間にはまれに白い血の持ち主の子供が生まれることがあるらしい。私は運悪く、その白い血の持ち主に生まれてきてしまったのだ。

そしてその事実を紅斗くんに知られてしまった。別に知られても何かあるわけではないけれど、知らない方が幸せなこともあるだろう。