真っ白な血

「白愛は……俺の怪我を治したいと思う?」

紅斗くんは下を向いて小さな声で問いかける。

「もちろん!」

私は彼のために何か出来るならと、頷いた。

だからこの時、紅斗くんが私の右腕を離さなかったことに疑問をもたなかったのだ。

──っ!

紅斗くんは私の腕から流れている白い血を舐めた。優しく愛しそうに。その瞳は真っ白で、授業中に聞いた話の通りだった。

白い瞳。八重歯。制服の下からうっすらと見える鎖骨の辺りにある文字。

私が聞いた通りの“赤い人”の特徴だった。

“あの人”以外で初めて見たように感じた。いやあの人ですらあまり見せてはくれなかった。

私は人間でよかったように感じる。なぜなら“赤い人”たちの間で共食いはルール違反だからだ。

「あか、と……くん…………」

そのまま傷を舐められた。その瞬間、傷がみるみるうちに治っていくの感じた。

「…………ええええ!?!?」

「うるさ……」

「だって傷が治っちゃったよ……何したの!? 紅斗くん……!!」

「…………舐めた」

そうして紅斗くんは私にフッと笑った。え、何? イケメン!!

紅斗くんがちょいちょいと手招きをするので近くによると、私の肩に顔を載せてきた。

──ガブッ

「いっ……!」

そのまま血を吸われる感覚があった。吸われる時間はすぐに終わったけれど、感覚はずっと残っていた。

痛い。心地がいい。血が出ている。てか美味しいの?

なぜかいろいろな思考がめぐり私はショート寸前だった。

「……ありがとう、白愛」

紅斗くんにお礼を言われ意識をはっきりさせると、目の前でみるみるうちに紅斗くんの傷が治っていくのが見えた。

これを見て普通の人ならば化け物と思うのか

ならば私は普通からかけ離れているのか。

「……良かったぁ、怪我が治って〜」

私がこの時思ったのはこれだけだった。