9月上旬。新年度開始。少し目覚める時間が遅かったけれど、今日からの学校に向けての目覚めとしては良かったように感じた。

学校に向かうと何かいつもより騒がしいように感じた。私の気の所為かもしれないけれど。

「どうしたの？」

あまり話したことの無い女子生徒に聞くと、少し驚いていたけれど答えてくれた。

「転校生が来るんですって！ 赤宮さまもご存知で？」

「え……？ 転校生……？？ 知らなかった……」

少し興奮したように彼女は言う。とても楽しみな様子に私は微笑んだ。

「どんな人なんでしょうね」

「気になりますわよね！？」

勢いがすごい様子に周りの生徒が「落ち着いて」となだめている。

「だって噂によれば“あの方”らしいですわよ！！」

「“あの方”……？」

「有名な“赤い人”ですわ！」

好奇心旺盛のようで、女子生徒は今すぐにでも走ってどこかに行ってしまいそうな勢いだった。

「“赤い人”…………」

彼と同じだったりするのだろうか。いいんや、私の気のせいか。

「白愛〜！」

輝月に呼ばれる。女子生徒にお礼を告げて、その場を立ち去った。

「夏休みは楽しかった〜？」

「もちろん！ 輝月は？」

「もち！の！ろん！」

そうしてグッドポーズをするので同じように返した。

そのあとはクラス替えがあり、新しいクラスの教室に移動した。今日から私たちは二年生になる。とても楽しみだ。