真っ白な血

「女の子を誑かしてるつもりはないけれど白愛が嫌なら辞めるよ」

私の家の前で彼はそう言ってくれた。私は自分でもわかるほどの満面の笑みで彼にお礼を言った。

「ありがとう、紅斗くん!!」

「……どういたしまして」

まただ。また少しだけ瞳の色が白くなる。その後に愛しいものを見るかのような優しい瞳を私に向けてくれる。

「それからご迷惑をおかけしました。私が泣いたこと周りには言わないでね」

「言わないよ。二人だけの秘密」

彼に笑顔で別れを告げ私は家の中に入った。彼はそのあとすぐに私の家を去った。

あと一週間もすれば一年生が終わる。あっという間の一年だったように感じた。

彼に出会ったのは、私にとって幸せで嬉しいことだ。来年のクラス替えで彼と同じクラスになれますように。

いつも通りに夕飯を食べ、お風呂に入った。いつも通りの日々。少し怖いことがあっただけ。だから大したことない。大丈夫。彼はちゃんと生きてる。

『紅斗くん! 急にメールしてごめんね。本当に怪我とかしてないよね……?』

思わず彼にメールをしてしまった。きっと彼は気が付かないだろう。気が付かなかったら送信削除しよう。バレないようにしよう。

それなのに──

『してないよ笑』

すぐに既読がついて返信が来た。着信音にビビってしまい携帯を落としてしまったけれど、嬉しかった。

『白愛は心配症だね笑』

『紅斗くんだから心配してるのよ。紅斗くんじゃなかったら心配してないもの』

そのあと数分程度やり取りが続き、最後にはお互いに『おやすみ』と送って話は終わった。

他愛もない話だった。夏休みの長期休暇にどこか行こうという話にもなった。けれどきっとお互いに用事とかで予定は合わずに遊ばないのだろう。そんな気がした。それでも良かった。そういう話が出来るほど仲良くなれたのだから。