その後は会話もなくずっと花火を眺めていた。30分もすれば終わってしまったけれど、その後がこの国にとって一大イベントだ。花火はその前触れ。今から始まりますよの合図だと気がついたのは小学校低学年だったと思う。
国のド真ん中にある城。その城では国王が話していた。私たち国民に話しかける。
「今年もやってきた! さぁ枯れた白い薔薇を赤い薔薇にしよう!!」
そう言って使用人が持ってきてくれた枯れた白い薔薇を、国王は躊躇いもなく真っ赤に染めた。
どうしても私はこの光景が怖かった。
目を逸らすと、紅斗くんと目が合った。
「白愛も苦手なの?」
「え?」
少しだけツラそうに聞いてくるので、私は頷く。
「仲間がいてくれて良かった〜! 白くて綺麗な薔薇なのに、どうして真っ赤に染めちゃうんだろうね。ボク、それが本当に嫌なんだ〜」
「……うん、わかるよ。私は怖いよ。どうしてかわからないけれど、白が赤になるのは、とっても怖い」
「だよね」
そう言って二人で笑い合った。この幸せな時間が続けばいいのにと願う。けれどそんな気持ち、すぐに消えてしまった。
彼の隣に私は相応しくない。いいえ、私の隣に彼は相応しくない。母が許してくれるわけなかった。
やっぱり彼は女をたぶらかして遊んで捨てるような酷いやつだった──
国のド真ん中にある城。その城では国王が話していた。私たち国民に話しかける。
「今年もやってきた! さぁ枯れた白い薔薇を赤い薔薇にしよう!!」
そう言って使用人が持ってきてくれた枯れた白い薔薇を、国王は躊躇いもなく真っ赤に染めた。
どうしても私はこの光景が怖かった。
目を逸らすと、紅斗くんと目が合った。
「白愛も苦手なの?」
「え?」
少しだけツラそうに聞いてくるので、私は頷く。
「仲間がいてくれて良かった〜! 白くて綺麗な薔薇なのに、どうして真っ赤に染めちゃうんだろうね。ボク、それが本当に嫌なんだ〜」
「……うん、わかるよ。私は怖いよ。どうしてかわからないけれど、白が赤になるのは、とっても怖い」
「だよね」
そう言って二人で笑い合った。この幸せな時間が続けばいいのにと願う。けれどそんな気持ち、すぐに消えてしまった。
彼の隣に私は相応しくない。いいえ、私の隣に彼は相応しくない。母が許してくれるわけなかった。
やっぱり彼は女をたぶらかして遊んで捨てるような酷いやつだった──