真っ白な血

「まぁどっちでもいいけれど。ねぇ天寺くん。その“赤宮さん”って呼び方、やめない?」

「え? なんで!?」

なぜか悲しそうに聞いてくるので、疑問に思いながらも質問に答える。

「なんでって……茶愛もいるからどっちのこと言ってるのかわからないんだもん」

「あ、そっか…………じゃ、あ……白愛、さん……?」

「……あはは! どうしてそうなるの」

なぜか面白くて笑ってしまった。というかツボから抜け出せなくなった。一時、笑っていると、隣で天寺くんが少しだけむすっとした。

「そんなに笑わなくていいじゃん!」

「だって。ごめん、笑いが止まらない……!」

「白愛」

ビクッ──

「そこまで」

少しだけ不敵な笑みを浮かべる天寺くん。なぜかドキッとした。いや、ドキッとって。そんなキャラじゃないはずなのな。そんなに惚れやすい性格じゃなかったはずなんだけれど。

その違和感はずっと残ったままだった。

ふとその時、ドン! という大きな音と共に空に満開の花が広がった。

「ねぇ、天寺くん……」

花火の音にかき消されて聞こえないと高を括るっていた。

「どうしたの?」

だから返事が返ってきた時、驚いて声が出なくなるかと思った。

「し、下の名前で……呼んでもいいかな……?」

どうしてこんなに緊張するのか分からなかった。けれど、ただひとつだけ分かったのは、彼と話すのは時々とてつもなく緊張してしまうことだけ。

「……いいよ、白愛!」

嬉しそうに、幸せそうな犬みたいな感じで天寺くん──紅斗くんは喜んでくれた。

「ありがとう、紅斗くん!」

「どういたしまして!」

愛しい人を見るように目を細めて優しい瞳を向ける紅斗くん。その姿にどうしても目が離せなかった。